複雑性トラウマを抱え，アタッチメントに深い傷つきがあり，パーソナリティ障害を抱えたクライアントに対して，コンパッション・フォーカスト・セラピーを実践しているケイト・ルクレ博士をお招きし，2023年7月8日（土）、9日（日）の14時から18時の日程でオンライン・ワークショップを実施いたしました。

ケイト・ルクレ博士はもともと深刻なトラウマを抱えたクライアントをソーシャル・ワーカーとして勤務していました。そこで，トラウマのクライアントさんを支援するために，認知行動療法（CBT）のトレーニングを開始しました。そのトレーニングの最終日に，ポール・ギルバート博士が担当するコンパッション・フォーカスト・セラピーの回があり，まさに欠けたピースにピタッとはまる運命的な出逢いでした。そこから，すぐにポール・ギルバート博士に連絡をとり，コンパッション・フォーカスト・セラピーにのめり込むようになりました。約20年前の出来事でした。

人間関係でトラウマや傷つきを抱えたクライアントは，良くなるためには人間関係でトラウマや傷つきが癒される必要があると，昔から，トラウマの治療ではいわれてました。まさに，コンパッション・フォーカスト・セラピーはケイト・ルクレ博士が求めてきた治療法だったのです。

しかし，グループ形式のアプローチはとても困難を伴うものでした。なぜならば，彼らはもともと人間関係で深いトラウマや傷つき体験を持っているために，グループでのコミュニケーションの中で生じるネガティブなニュアンスを受け取ってしまうからです。しかし，グループの中でコンパッションが根付いてくると，温かい治療的な雰囲気を醸成させることができるし，当事者同士でお互いに支援的になり，次第に，個別のCFTを望まなくなるそうです。その辺の臨床上の工夫されていること，さらには，どういうグループの雰囲気づくりが重要かに関して，ワークショップでは，示唆をいただけました。

ケイト・ルクレ博士は，人間関係でトラウマや傷つきを癒すための道具箱（リソース）として，思いやりの道具箱（Compassionate Kitbag）という考え方を提唱しています。日本では，まだ，紹介されていません。

ケイト・ルクレ博士には，人間関係やアタッチメントに深い傷やトラウマを負ったクライアントに対して，どのようにコンパッション・フォーカスト・セラピーを実施するのかに関して，その方法やその効果など，エクササイズをまじえて，解説していただきます。また，関係性トラウマを癒す思いやりの道具箱（Compassionate Kitbag）の考え方について解説していただきます。特に，トラウマを専門にしている方には必見です。最新の知見や技術に関して，解説していただきます。

英国を中心に徐々にコンパッション・フォーカスト・セラピーが広まり，うつ病、PTSD、OCD、社会不安、双極性感情障害、摂食障害、統合失調症，LBGTs，虐待，アディクションなど様々なメンタルヘルスや感情制御の問題に，実証的研究が行われ，有効性が示されるようになりました。

今回は，はじめての心理士でもお気軽に参加できますし，コンパッション・フォーカスト・セラピーに関して詳しく解説していただきます。また、コンパッション・フォーカスト・セラピーのエクササイズも体験することができます。そのため、初学者でも、深く理解できる機会となることでしょう。

★講師　ケイト・ルクレ博士（Dr. Kate Lucre）

　　※ワークショップでは逐次通訳がつきますのでご安心ください。

【講師紹介】

　ケイト・ルクレ博士はバーミンガムを拠点とするコンパッション・フォーカスト・セラピストであり、スーパーバイザーです。特に、複雑性PTSD，パーソナリティ障害，人間関係で困難さを抱えているクライアントに個別CFTないしはグループCFTを実践しています。また，ルクレ博士は，コンパッションマインド財団（Compassionate Mind Foundation）の地域スーパービジョン・コーディネーターであり、英国全で，コンパッション・フォーカスト・セラピストのためのサポートやスーパービジョンに関してもワークショップを開催しています。

★ワークショップの日時　

　2023年7月  8日（土）　14時～18時

　　　　　     9日（日）　14時～18時

※当日、Zoomに接続できない場合でも、後日、録画ビデオはご視聴できます。

※すでに，終了いたしました。もし，ビデオのご視聴を希望される方は，事務局にお問い合わせください。

★Zoomによる開催

Zoom（https://zoom.us/jp-jp/meetings.html）を使用します。会議IDやパスワードは、参加者に別途、お知らせいたします。

★参加人数

　60名にご参加いただきました。

※できる限り多くの方にご参加いただきたいので皆さんのまわりにも本ワークショップについてお声かけください。